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ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏の功績とは?

2018年10月1日、ノーベル生理学・医学賞が発表され、本庶佑京都大学特別教授が受賞されたのは記憶に新しいでしょう。
同じ日本人として、とても名誉な事ですよね。
では、本庶佑先生はどのような功績によって、ノーベル生理学・医学賞を受賞されたのかご存知ですか?
今回は、本庶佑先生の輝かしい功績についてお話しします。

私たちの体に備わっている免疫機構とは? 癌細胞はどのような悪さをしている? 本庶佑先生の功績とは?

本庶佑先生がノーベル生理学・医学賞を受賞した研究内容についてお話ししていく前に、本庶佑先生の功績を理解しやすくする大前提の知識をお話ししていきたいと思います。
肩の力を抜いて読んでいただければ幸いです。

 

風邪をひいたりすると、熱が上がりますよね?
皆さんはどうして熱が出るか、ご存知ですか?

 

実はこれ、風邪の原因となるウイルスが私たちの体内に侵入してきた際に、その増殖をおさえようという防御反応なのです。

 

これらの防御反応は免疫反応とも呼ばれます。
私たちの体には精密な免疫機構が備わっているからこそ、抵抗力が低下しているお年寄りを除いて、風邪をひいてもすぐに治りますし、周辺環境には常に様々な病原微生物が存在しているのです。
それらが引き起こす疾患にかかる事は、滅多にありません。
実は、私たちの体には進化の過程で獲得した、とても素晴らしい防御機構が備わっているのです。

 

この免疫機構のあれこれについて、お話しし始めていくときっと日が暮れてしまうでしょう。
私たちの体に備わっている免疫機構とはそれほど精巧で、複雑なのです。

 

端的に言うと、それらの免疫機構の主役は「T細胞」。
血液内の白血球と力を合わせて、このT細胞が体内に侵入してきた細菌やウイルスを退治したりします。
また、抗体といって同じ感染症に罹患した際に2度目は症状が出ない、もしくは症状を軽くしています。

 

そして実は、この「T細胞」は異物である癌細胞の退治もしてくれるのです。
正常細胞では、必要な時に必要な分だけ細胞分裂し、周りの細胞に障害をきたす事はありません。
一方で、癌細胞は度を超えていくらでも異常に分裂してしまう細胞の事をいいます。
そのために周りの細胞にも迷惑をかけ、様々な病態を引き起こすのです。

 

この頼もしい「T細胞」がいれば、がんで苦しむ患者さんはいないはずですよね。
ですが現実問題として、がんは日本人の死因第1位を占め、今もがんに苦しんでいる患者さんは数多くいます。

 

癌細胞を退治してくれる「T細胞」が体に備わっているはずなのに、どうして私たちはがんになってしまうのでしょうか。
これが、実はずっと分かっていなかったのです。

 

ですがお待たせしました。
本庶佑先生の功績とは、この理由、「T細胞」が存在しているのに、私たちががんになってしまうのか、そのメカニズムを解明した事にあります。

 

具体的にいうと、そのメカニズムは免疫チェックポイントといいます。
なんと、癌細胞は体内の免疫系細胞の働きを抑制して、自身が退治されてしまわないような機構をもっているというのです。
そしてその機構で重要な役割を果たしているものこそが、「PD-1」。
次の小見出しで詳しくお話していきますね。

 

本庶佑先生の研究内容とは?

前の小見出しで、私たちの体には精巧な免疫機構が備わっており、免疫機構の主役である「T細胞」は癌細胞を退治しようとしますが、癌細胞自身も退治されないような機構をもっており、それが「PD-1」という分子を介している事をお話ししてきました。

 

では、いよいよ本題ですが、本庶佑先生がノーベル生理学・医学賞を受賞した研究について解説していきましょう。

 

前述の通り、本庶佑先生の最大の功績は「PD-1」という分子を発見した事にあります。
「PD-1」という物質は、免疫系の主役である「T細胞」の表面にある分子であり、正常状態では体内の免疫系細胞に抑制をかけて、免疫反応を過剰にやりすぎてしまう事を防いでくれています。
そうですよね。
免疫反応が過剰に起こってしまうと、熱は上がり続け、それによって脳がやられてしまいます。

 

ですから、「PD-1」という分子は免疫反応において、ブレーキとして重要な役割を果たしているように思えます。
しかし、この「PD-1」を自分に都合の良いように悪用しているのが、癌細胞なのです。
なんとずる賢いことでしょう。

 

具体的には、癌細胞の表面には「PD-1」と結合する「PD-L1」という分子があって、この2つを結合させる事で、癌細胞を退治しようという免疫系細胞の働きを無くしてしまうのです。
「PD-L1」は、通常、免疫系細胞によって攻撃されては困る細胞がもつ分子なのですが、悪名高い癌細胞がこれを手に入れてしまうと、「T細胞」による免疫反応から逃れ、異常に増殖していってしまうというわけなのです。

 

いかがでしょうか。
本庶佑先生の功績はかなり大きなものであるといえますよね。
人類を悩ませてきたがんの発生機序について、解明されたのですから。

 

本庶佑先生の研究が私たちにもたらすものとは?

ノーベル賞は「過去1年間で人類に対して最大の貢献をした者」に授与されます。
前の小見出しで、本庶佑先生の功績はT細胞表面に「PD-1」という分子を発見し、体内には免疫機構が備わっておりながら、がんが発生してしまう理由を解明したとお話ししてきました。
これだけでも、十分に素晴らしい功績ですが、本庶佑先生の功績はまだあります。

 

それは、「PD-1」や「PD-L1」といった私たちの免疫機構を抑制してしまうような分子を阻害し、癌細胞をやっつける薬を開発した事です。
この薬こそが、免疫チェックポイント阻害剤といい、具体的には「オプジーボ」という薬が有名でしょうか。

 

免疫機構が活性化されるか、抑制されるかを決める免疫チェックポイントの働き自体を無くしてしまう薬であるため、このように名づけられました。
がんで苦しむ患者さんは世界中に数多くいますが、本庶佑先生のこの薬の開発はそれらの患者さんに明るい希望の光をともしてくれました。

 

しかし注意しておきたいのは、がんの発生機序は様々であり、すべての癌細胞がこの「PD-1」と「PD-L1」という分子を利用して悪さをしているわけではないという事です。
つまり、オプジーボの効果は確固としたものがあるものの、保険の適応は限られています。

 

2018年12月現在、オプジーボの保険適用がんは以下の6種類に限られています。
・悪性黒色腫(メラノーマ、皮膚がんの一種)。
・手術では切除できない、肺がん。
・再発または手術では切除できない、頭頚部がん(舌癌、咽頭がんなど)。
・転移性または手術では切除できない、腎細胞がん。
・再発または難治性の古典的なホジキンリンパ腫。
・化学療法後に憎悪した、手術では切除できない、進行・再発胃がん。
・化学療法後に憎悪した、手術では切除できない、転移性の悪性胸膜中皮腫。

 

保険の適用になっているということは、オプジーボの効果が立証されているということ。
オプジーボはまだまだ研究の初段階ですから、これから保険適応が増えてくると思います。
その足がかりとなる免疫チェックポイントの発見をした本庶佑先生の偉大さを、実感しますよね。

 

今や日本人の死因の第1位である悪性新生物(がん)。
前述したとおり、オプジーボが効くがんは限られてくるものの、がんに対する特効薬を開発したという点において、本庶佑先生の功績というのは物凄いものですよね。
本庶佑先生によって、何百万人ものがん患者が身体的にも、精神的にも救われた事でしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
ここまで、2018年度のノーベル生理学・医学賞を受賞された本庶佑先生の功績についてご紹介してきました。
本庶佑先生の偉大な功績とは、癌細胞が免疫系細胞に退治される事なく、異常増殖に関与する「PD-1」、また「PD-L1」という分子を発見した事です。
これを基に、オプジーボというがんに対する新しい特効薬も開発され、がんと戦う多くの人の希望となりました。
本当に素晴らしい功績ですね!